雑感19 <話の杜・・・演奏者、市民が一体>

  7回目の開催となった14日の定禅寺ストリートジャズ
フェスティバルは雨にたたられた。 楽器は雨を嫌う。
実行委員の米竹隆・米竹書店社長は「演奏辞退が続出するか
と心配したが、テントの中でやろうというバンドマンの熱意
には感動した。フィナーレは熱気で湯気が上がるほどでした。」
と1週間が過ぎても興奮気味だ。米竹さんによると、昔
「141」ビルでわずか数バンドのジャズコンサートが開か
れた。それを「定禅寺でやるのもいいではないか」と話が
膨らんだのが始まりだ。今年は約250組、1300人
ほどがエントリー。仙台市民を中心に、札幌、秋田、東京
など遠来組も多い。「市民に認知されてうれしい」と米竹さん。
 コンサートは聴く意志をもって会場へ足を運ぶもの。ところが、
こっちはビルの入り口、定禅寺通の分離帯、街角の広場などが
舞台で、通りがかりの人を音楽の輪に引き込む。市民との一体感
が演奏者にとって大きな魅力になっている。
 仙台でジャズの世界に首を突っ込んで2年になる。2年前の
9月の第2日曜日、仕事で定禅寺通を通りかかったら、知り合い
の社長さんがサクソホンを吹いていたのが縁で、ジャズに魅せら
れてボーカルを始め、今年のフェスティバルでは通行人側から、
聴いていただく側に回った。
 やってみた定禅寺ジャズフェスは、米竹さんが言うとおり熱気
のあるものだった。バンドは約40分ごとに次々と交代。傘を
さして立ったまま、1時間も2時間も楽しむ白髪の老人が印象的だ。
仙台の音楽ファンは派手にノルことを好まず、ジャズも例外ではない。
それでもこういう老人を見ると、本当に楽しんでいるのだなと感じる。
「オール オブ ミー」の歌のスタートで出遅れるミスをした。
演奏を止めることもできず、バンドマスターはドラマーと顔を見合わ
せて困惑の表情だ。幸い、うまくメロディーに戻った。あとで、
バンドマスターが言った。「その時のお客さんは、ホッとした顔に
なった。よかった、って気分が伝わってきてうれしかったよ。」
演奏者と音楽好きの市民と一体感を肌で感じて、やみつきになり
そうな心境だ。
「来年、もっとお客さんノ喜んでもらうにはどうしたらいいか。」
金物会社「鈴屋金物」の社長でありながら、「図面のより譜面が好き」
というバンドマスターの鈴木誠一さんを中心に、市役所勤務の公務員ガス会社社長さんらのジャズメンの熱気は深夜まで続いた。

  毎日新聞仙台支局長・渡部節郎