雑感54<宿澤広朗流、勝つ為のチーム作り>
   
  元全日本ラグビー監督、現在日本ラグビー強化委員長、
宿澤広朗氏の講演、「 勝つ為のチーム作り」の要旨を
記載する。早大ラグビー在部時代、一年の時からレギュ
ラーで出場する。1年の時、大学決勝で、日体大に敗れる。
2年から3年35連勝し、全試合勝っている。4年の時、
大学決勝で、明大に敗れる。対抗戦64連勝は、今後も
大学では、絶対破れないと考える。

  何故、早大ラグビーが弱くなったか。対抗戦64連勝中
は、まず、素材、戦力に恵まれていた。気分的にも優位に
立っていた。第二に、戦略的に優れていた。今、他校は、
高校代表、ベスト8等のスポ−ツ推薦の枠を持っている。

  日本代表選考では、最初に、ディフェンス能力、防御能
力を絶対条件としている。早大ラグビー部の場合は、総合
力に優れた選手を選出する。日本代表は、外国人相手なの
で、総合力より、外国人に通用するディフェンス能力を選
考基準としている。何か他に圧倒する特徴、強みを持つ選
手を選出する。

  従来のラグビーの練習方法は、非合理的で精神論のみの
ものが多かった。水を飲むと疲れると禁止されていたが、
今は充分に水をとる事を推奨している。
3つのフィットネスを重要視している。
1、体力的フィットネス
2、ゲームフィットネス
3、メンタルフィットネス
戦力は、勝敗の70%を決定する。戦略には、まずオリジナ
リティーが必要である。人と同じ事やらない。人がやらない
事をやる。現代ラグビーでは、その差異が無くなってきている。

  早明ラグビーほど特徴、戦略の明確なコントラストは無い。
早明両校は、この明確な戦略にこだわってその技を磨いてきた。
明大、北島理論は、前へ、タテに進めである。ゴールに向かっ
て最短距離をまっすぐ走れという教えである。フォワード命で、
ダウンボールの仕方、ピックアップの仕方、モールの作り方等、
フォワードプレーに優れた技術を持つ。早大、大西理論は、
ヨコへのゆさぶり、数のプレー、スペース、スピードにこだわ
る教えである。相手が2人のところを、3人で攻める。ヨコへ
のゆさぶりを重ね、相手の数の少ないところを攻める。明大ラ
グビーのほうが、今のルールに合ってきた事も現在の早大ラグ
ビー低迷の一因と考える。関東学院大、ルーツ校慶大、早明で、
今年のラグビーの優勝戦線を形成すると考える。

  最初の10mスタートダッシュでは、日本の選手は速い。パ
スのスピード、パスワークの良さで世界に立ち向かう。ラグビ
ーは、フットボールでなく、ハンドボールである。ワンモーシ
ョンで体の前で取る。正面で取ると一回戻す事になり、遅れる。
パスの来る方で取り、ワンモーションでパスをする。正対して
パスワークで攻める。フランスのシャンパンラグビー本家のコ
ピーではない日本独自のプレーで勝負する。

  何かをやる場合には、何かを捨てる事が必要である。大事な
事は、このトレードオフを実践する事である。短所を直す事よ
り長所を伸ばす。全日本の名ハーフ村田選手は、左利きの利き
足を生かして、左足のキック、左サイド攻撃で、世界に通用す
る選手となった。

   1、情報、2、戦略、3、戦術次元で作戦を立てる。情報は、
データとは、違う。勝ってる時は、良く見える。負けている時は、
悪く見える。チーム作りには、良いリーダーを選出し、選手に目
標を与える事が必要である。リーダーの条件は、ピンチとチャン
スに強い事。ピンチの時は、流れを変える。チャンスの時は、
流れをつかむ。選手の個々の能力を最大限に引き出す。自分で体
をはってやる実行力と人を動かし、使う指導力が必要である。
チャンス時における強気な面と、ピンチ時における慎重な面を併
せ持つ。リスクをどう取れるか。リスクを取れない人は、リーダ
ーとして不適格である。競技スポーツの目標は、勝つ事である。
レジャースポーツ、ファンスポーツ、エクササイズの目標は、楽
しむ事である。楽しいかどうかは、勝者にだけ許された発言である。
ちょっと努力して達成できる所に目標を持つ。弱いチームほど、
チームワークを言い出す。チームワークは、作るものではなく、
自然にできあがるものである。

                        平成13年7月30日(月)鈴木誠一拝
  
                               
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