雑感126
<政権交代。マニュフェストの政策実現を。経済成長戦略をより明確に具体的に。>


 平成21年は、民主党によって政権交代が実現した年である。第45回衆院選は8月

30日(日)に投票、即日開票され、民主党による政権交代が実現した。鳩山由紀夫代

表が首相に選出され、社民、国民新両党との連立内閣が発足した。自民党は過去最低の

歴史的惨敗を喫した。第1党が選挙で過半数を取り政権を奪取するのは戦後初である。

自民党は1955年の結党以来、初めて衆院第1党の座から転落した。官僚主導の打破

を掲げる民主党は、従来の政と官の関係を大きく変えた。政策立案の中心となる国家戦

略局は、当面は経済危機からの脱却を確実にし、税財政、社会保障制度改革、道州制導

入の実現に着手する。



 民主党のマニュフェストの要諦を確認する。「コンクリートから人へ。」「暮らしの

ための政治を。」をスローガンに、命を大切にする友愛社会の実現をめざす。政治とは、

政策、予算の優先順位を決める事とし、国民の生活を第一と考え、子育て、教育、年金、

医療、地域主権、雇用、経済に集中的に予算を使う。官僚丸投げ政治から政治家主導政

治、脱官僚依存政治へ、内閣の一元管理を実践する。官主導の省益から国益へ、縦に結

びつく利権社会から横につながる絆社会を作る。中央集権から地域主権へ、総理直属の

国家戦略局で国家ビジョンを創る。天下り、渡りを見直す行政刷新会議で、事業仕分け

を実践し、税金の無駄使いを根絶する。官製談合、随意契約を禁止し、地域主権確立の

為に、高速道路の無料化、農業の戸別補償制度を創設し、郵政事業の抜本見直しをする。

族議員、霞ヶ関官僚の既得権益を一掃する。緊密で対等な日米同盟関係を築き、新たな

外交防衛政策を作り上げる。



 平成22度予算案が決定した。過去最高の92兆3000億円の規模となった。鳩山

政権は、46兆円と見込んでいた税収が、37兆円と9兆円の減収に、厳しい現実を突

きつけられた。平成22度の国債発行額が44兆円3000億円となった。国の借金は

865兆円に膨らんだ。民主党内閣の主な目玉政策を検証する。



@子供手当、子育て支援、

 中学卒業まで月額2万6000円(年間31万2000円)の子供手当を支給する。

生活保護の母子加算を復活し、父子家庭にも児童扶養手当を支給する。15歳以下の扶

養控除が廃止される。子供家庭省を設置する。子供は、家庭で育てるのが当たり前だっ

たが、少子高齢化が加速する現在、子供は国の宝として、国が育てるという理念である。

若い世代が、子供を産まなくなったのは、産んでも育てられないという厳しい経済状況

が現実である。子育てどころではない。自分一人生きていくのも経済的に大変である。

税収の落ち込み、財源不足から子供手当てに所得制限(年収800万円が有力)を加え

るという議論が強まってきた。子供手当てが平成22年度一人月額1万3000円(マ

ニュフェストの半額)支給されることになる。



A公立高校の無償化、教育支援、

 今、子供を教育するにはお金がかかり過ぎる。公立高校無償化は、公立高校生の授業

料を無償化し、私立高校生には年12万〜24万円を支給する。大学生に、希望者全員

が受けられる奨学金制度を創設する。お金持ちも貧乏人も、教育を平等に受けられる道

筋が作られたといっていい。教育こそが最大の未来への投資と筆者も考える。



B高速道路無料化、

 高速道路無料化により、家計の可処分所得を増やし、消費を拡大し、内需主導型へ経

済を転換する。 ガソリン税の暫定税率を廃止する。 ガソリン暫定税率は廃止されるが、

税収の落ち込みにより、実質的には恒常的なガソリン税が創設され、税収は維持される

ことになった。高速道路無料化は大幅に縮小されてた形でスタートすることとなる。



C農業の戸別所得補償、

 農業戸別所得補償制度の創設により農業を再生し、食料自給率を向上する。 農業の個

別補償も、生産コストが販売額を上回る時は、その差額が補償されるとなったら、果たし

て、農業経営に、一生懸命工夫しようとするだろうか。厳しい競争の中からしか真の工夫

は、生まれ無い。筆者は、反対である。補助金に頼る産業育成策は、依存体質を作り、決

して長続きしない。



D年金制度の一元化、

  消えた年金、消された年金の解決に2年間集中的に取り組む。すべての人に年金手帳

を交付し、国民皆保険を実現する。月額7万円の最低保障年金の実現する。年金保険料の

年金給付以外への流用を禁止する。公的年金控除の最低補償額を140万円に戻す。 社会

保険庁は国税庁と統合して歳入庁とする。後期高齢者医療制度は廃止する。 介護労働者の

賃金を月4万円引き上げる。 一日も早く年金制度の一元化を実現してほしい。



E国家公務員の人件費削減、

 国家公務員の人件費を2割削減する。国から地方へのひも付き補助金を廃止し、地方が

自由に使える一括交付金をとして交付する。国と地方の二重行政を廃止し、国の出先機関

を廃止する。事業仕分けについては、国の3000の事業のうち、必要性の少ない450

の事業仕分けで、2兆円の効果があった。事業仕分けは、初めて、一つ一つの事業を、国

民の前に公開したことは、大きな成功と考える。事業仕分けを見て、何故こんな無駄な事

業を長年続けてきたのだろうかと腹立たしく思ったのは、私だけだろうか?。民間中小企

業だけに、つけをまわし、官僚にメスをいれないられない現実は、まだまだ物足りない。

毎年継続して、次回は、財務省の原案無しに政治家がもっと主導権をもって税金の使い道

を精査してほしい。



Fエコカー、エコ省エネ家電、エコ住宅、住宅用太陽光パネル、購入の助成、 

 エコカー、エコ省エネ家電に続いて、エコ住宅にエコポイント政策を打ち出す。住宅取

得に対する親から子への特別贈与額を現行の500万円から、平成10年は1000万円

に、11年は1500万円に増額することになった。親が子に住宅を購入する際に、

2000万円までは贈与税をかけないいう政策は、できるだけ早急に実施すべきである。

現実は、多くの人が、住宅ローンの延滞で、金融機関が、半年で競売にかけ、叩きまくら

れて、家を失い、ローンだけ残る事例がいかに多いことか。



G緊密で対等な外交、防衛政策、

 普天間基地移設の問題は、現実的判断を伴う最も難しい政治的課題の一つである。普天

間基地を国外が一番いいと多くの日本の国民は考えるだろうが、現実的には、落としどこ

ろは、県外移転ではなかろうか。アメリカは日米安保条約で、非常時に日本を守る義務を

負っている。その代わりに、日本は、思いやり予算で、コストを支払って、アメリカに基

地を提供している。日本は、侵略の脅威から自国を自力で守れないから、アメリカの防衛

力に頼るしかない。両方納得できる現実的落としどころを探るのが真の外交である。低空

で爆音がすざまじい軍用機が離発着する普天間の周りの住民は、たまったものではない。

辺野古への移転を野党時代反対していた民主党だが、早急に代替地を現地との折衝を含め

て、早急に対処すべきである。この時はじめて、緊密で対等な日米同盟関係が築かれ、新

たな外交防衛政策を作り上げられる。



H中小企業の法人税率引き下げ、 

 中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げる。 中小企業いじめ防止法を制定し、

大企業による不当な押しつけ販売、サービス強要を禁止する。 貸し渋り、貸しはがし対策

を講じ、特別信用保証を復活する。月額10万円の手当付き職業訓練制度で休職者を支援す

る。製造現場への日雇い派遣、スポット派遣を禁止する。派遣労働者が派遣先に直接雇用を

通告できる「直接雇用見なし制度」を創設する。全国最低賃金800円を設定する。将来的

には、全国平均の最低賃金1000円へ引き上げる。 中小企業や地域経済の実情は厳しい。

新政権はスピード感を持って景気雇用対策を実行すべきである。亀井蔵相が孤軍奮闘で無理

やり通した観がある返済猶予法案。苦しんでいる中小企業に返済を猶予する法案の平成の徳

政令は、その場しのぎに過ぎず、債務の先延ばしに過ぎない。中小企業の不良債権を国が買

い取るくらいの思い切った政策は打てないのか。一部上場会社が、民事再生法を簡単に申請

して、その裏では、負債をかぶるのは、いつも末端の中小企業である現実を、肝に銘ずべき

である。



I公共事業の削減、

 切られる側の代表である公共事業が、前期比18%減に絞り込まれた。筆者も建設産業に

身を置くものとして、政府、マスコミ、メディアがそろって、建設産業をヒール・悪役に

仕立てあげて、レッテルを貼っている。果たしてそうだろうか?。やんばダムなど無駄な公

共事業は、どんどん中止にしていい。しかし古くなった学校、病院などの公共性の高い安全

性の確保が必要な建物の耐震補強など、社会資本整備は、まだまだ未整備である。国土交通

省がすべて一元管理するのではなく、地方にお金と権限を一切与え、地方の実情にあった使

い方をすればいいのではないか。建設産業は、裾野が広く、多くの科学技術の応用分野であ

り、雇用の受け皿となっているのが現実である。倒産、失業であぶれた人が、すぐに、環境、

医療、介護、農業、に行けるであろうか。?現実的には、何も仕事がなくて、タクシーの運

転手になるのがいかに多いことか。現実を良く見ることである。政治家の皆さんが、落選し

てただの人になって、あなたに今何ができると思いますか。?他人事ではなくて、当事者意

識でより現実的な具体的な政策を実行してほしい。コンクリート、公共事業が悪という稚拙

なレッテル貼りはもうおやめなさい。筆者は、冗談と皮肉をもって、「コンクリートから金

物へ」と最近言っている。



 個人は、収入が減ることを覚悟して、その上で生活設計を練り直す。特に中小企業は、固

定費削減に大なたをふるう。打つ手は無限である。「貧すれば鈍する。」根本から作り直す

覚悟、一から出直しの覚悟をもってやりぬく。閉塞感を取り除かない限り、大きな飛躍は期

待できない。釣った魚を与えるよりも、魚の釣り方を教えるのが真の教育であり、真の経営

である。アメリカのオバマ大統領が「チェンジ」といったが、我々一人一人がワークライフ

バランスの実現を考えた上での自己変革が必要である。



 京セラの稲盛和夫名誉会長は、民主党の大勝について、「日本の政治にとり、明治維新に

次ぐ平成維新といわれるほど大きな変化。」と、期待感を表明した。民主党から143名の

新人議員が誕生した。昨日まで無職だった女性も当選した。新人議員には、小泉チルドレン

の二の舞にならないようにしてほしい。民主党は、松下政経塾出身者が目に付く。責任政党

として歳出歳入一体改革、経済成長戦略、規制行政改革、社会保障制度改革にバランス良く

取り組むことを期待する。子供手当て、高校の無償化など家庭、消費者を温める政策に軸足

があるが、日本の経済を下支えしている中小企業に対する政策を緻密に実行してほしい。い

くら子供手当てを支給しても、勤めている企業が倒産したらもともこもない。企業こそが富

を生み出す唯一の金の卵であることを深く銘記すべきである。需給ギャップ35兆円に対し

て、その穴埋めの為に、いかに国家的な経済成長戦略を持つかが最も緊急で肝要な国家ビジ

ョンである。「出番と居場所のある日本」の掛け声の下、すべての日本国民が活き活きと仕

事ができる仕事の場の創造、需要の創造が大切である。需要、仕事が増えるような経済成長

政策が大切である。信用収縮を断絶する経済成長政策が肝要である。民主党には、議論はし

尽くしてあるので、より明確に、より具体的に、国家的な経済成長戦略の早急な実行を期待

している。 



                   平成21年12月31日(木)鈴木誠一拝