雑感65<宗男的体質と、伏魔殿>


  先日、疑惑解明の国民の期待を一身に受けて、鈴木宗男氏の
証人喚問が行われた。疑惑解明のポイントは、下記の5点である。
1、国後島ムネオハウス(友好の家)入札資格への決定関与、
    桟橋改修工事入札資格への決定関与
2、ケ二ア政府開発援助(ODA)、ケニア水力発電事業、
    第2期工事を落札した鴻池組からの政治献金
3、タンザニア中学校建設への送金代行、寄付金の出所が不明
4、コンゴ人秘書、ムルアカ外交官問題
5、北方領土不要論、北方領土を巡る発言
である。

  ムネオハウス、友好の家の入札に関与に関しては、受注企業
からの政治献金が増えている。明らかに工事受注に対する見返
りだ。渡辺建設工業に、2374万円の追加工事支払いが実施
されている。口利きの翌日に50万円、二ケ月後に100万円
の政治献金が渡されている。根室管内の企業にに限定してはど
うかという口利きをしたが、根室管内にB以上は渡辺建設工業
だけだったという。友好の家建設工事コンサルタント会社が、
エンジニアリング会社に参加を呼び掛け、事実上、工事請け負
いの依頼、仲介をした。入札参加資格で根室管内を特定企業が
念頭にあった。友好の家入札前に、地元事務所で地元秘書や、
下請け業者らが会っている。日揮がすべて仕切って丸投げした。
日本工営、日揮、渡辺建設工業、犬飼工務店の関わりを明確に
すべきである。

  私が最も注目している疑惑、ODA(政府開発援助)、中でもケニ
アの175億円水力発電事業に関する利権疑惑である。ケニア、
ソンデュミリウ水力発電事業に、鈴木宗男氏が介在し、国民の
血税をタレ流していた疑惑である。水力発電事業は、現地では
猛反発の中、鈴木宗男氏の利権の為の事業を推進していた疑い
である。田中真紀子外相に、「ここには真っ黒な利権がある。」
と言わしめた外務省の暗部が、具体的に見え隠れする。外務省
のプール金、ODA(政府開発援助)の還流金が充てられたのでは
ないか。鈴木宗男氏は、1991年、92年、94年のケニア
訪問しているが、その時、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業の話
はなかったと鈴木宗男氏は主張している。ソンドゥ・ミリウ水
力発電事業は1985年から始まり、1989年には円借款も
ある。鈴木宗男氏外務政務次官で訪問した1991年に、水力
発電事業の話が出ないのは、不自然でありおかしい。なぜ嘘を
言ってまで隠そうとするのか。

  タンザニア支援として、鈴木宗男氏は、政治資金から800
万円出資し、外務省職員を使って海外送金した。

  私設秘書のムルアカ氏が駐日コンゴ(旧ザイール)臨時代理
大使への外交官IDカード発行ついて、鈴木宗男氏が、外務省
に圧力を行使した。

  北方領土を巡る発言とは、「北方領土は戻らなくてもいい。
戻ってきても意味がない。北方領土問題は国のメンツから返還
を主張しているに過ぎず、実際には島が返還されても国として
何の利益にもならない。」と発言している。明らかに国益に反
する発言である。「記憶にございません。」は自民党の伝統芸だが、
今回の証人喚問も、疑惑の核心は、「覚えていない、記憶に無い。」
でしらをきった。

  時を同じくして、東京地裁では松尾克俊氏(前外務省要人外国
訪問支援室長)に対する判決が下った。懲役7年6月の実刑だった。

  鈴木宗男氏の証人喚問においてはっきりしたのは、政府、与党
も霞が関(外務省)も、鈴木氏を「ムネオ菌」として排除の態勢
に入ったという事である。あの真紀子騒動、宗男騒動は、一体何
だったのか。田中真紀子大臣を引きずりおろし、外務省の体面を
守ったという意味では、成功した鈴木宗男氏だったが、政治的生
命は、完全に奪われたと考える。しかし、議員辞職、刑事告発は、
国民に対する疑惑解明の為には、徹底的にやらねばならない。
田中真紀子前外相が、「ムネオ予備軍は、まだ自民党内いる。」
と言っているように、自民党そのものの自浄能力で解明する事は、
不可能と考える。官房機密費や北方四島の問題など、長年にわた
って鈴木宗男氏のやり放題の行動を是認、醸成してきた官邸、
党幹部、外務省高官の責任は、極めて重いと考える。北方4島支
援事業、ODA(政府開発援助)等、美名の下の公金横領、宗男的体質、
宗男流集金術は、断じて許し難い。

  鈴木宗男氏は、どうして政治の表舞台に登場したのか。なぜ利権
モンスターになったのか。鈴木宗男氏は、細やかな気配りと几帳面
さがあり、人のためによく尽くす人であったようである。表向きは
強気に振る舞っていても、内実は小心で悩みやすい性格と見る。
外務省への徹底的した世話焼き、又、自民党抵抗勢力のために良く
尽くした。というより、抵抗勢力側が鈴木氏の性格を利用したと
私は考える。口利き便利屋として、見返りとしての政治献金を
受けていた。鈴木宗男氏と加藤紘一氏のけじめ問題は、離党で
けりをつけようと、自民党は考えているようだが、疑惑解明こ
そ国民が求めるものである。鈴木宗男氏と加藤紘一氏の疑惑は、
構造的には同一である。鈴木氏は自分で手を染めたが、加藤氏は、
秘書を使っただけの違いである。現行法での抜け道を巧みに使っ
て、口利き便利屋として、見返りとしての政治献金を受けていた。
自民党の政治家は、皆似たような事をやっているのではないか。
と疑いたくなるのは、私だけであろうか。今の自民党は、集金力
がある人が偉くなり、政策力があっても、集金力の無い人は、
偉くなれない。企業献金禁止法、斡旋利得罪を早急に法制化せね
ばならない。それがだめなら、入り(政治献金)を透明にする事
である。鈴木宗男氏は、離党の際に、「党に迷惑をかけた。」と
話していたが、迷惑を受けたのは国民である。思い違いもはなは
だしい。鈴木宗男氏と加藤紘一氏は、議員辞職が当然の罰則で、
刑事事件に問われるべきである。国民の税金を私物化し続け、
日本を荒廃、衰退させてきた鈴木宗男氏と加藤紘一氏に、政治的
犯罪行為に対して、潔く政治家として責任をとるべきと考える。
議員辞職、刑事事件にもっていくまでは、与党である公明党、
保守党の良識と、そして自民党若手の良識が問われる。己の政治
倫理、政治的道義、良心に問い正して、事実関係や責任を明らか
にしてほしい。

   一連の外務省を舞台にした疑惑は、今、鈴木宗男氏一人が、
いけにえとなり、外務省の罪は、闇に葬ってしまった。外務官僚
の事なかれ主義と、世の中を知らない独善主義の体質が、この
悲劇の主原因だ。渦中にある外務省の職員は全くお咎め無しなのか。
肝心なのは、外務省そのもの腐りきった体質、伏魔殿をあばかねば
ならない。外務省は、又姑息にも、鈴木宗男氏がなぐったという
7年前の事件をなぜ、今頃出すのが。外務省は、実は共犯である
にもかかわらず、あたかも被害者として振る舞い、今頃、鈴木宗
男氏にかかわる秘密の内部資料をどんどん流出させている。なぜ
真紀子騒動の時公開しなかったのか。今回最も驚くべきは、7年前
の鈴木宗男氏の発言に関する外務省内部『丸秘』文書が出てきたと
いう体質そのものだ。いつでも使えるように残しておく、自己防衛
のためであれば、なりふりかまわぬ官僚集団を再認識させられた。
こんな腐りきった官僚には、自浄能力は無いと考える。 伏魔殿、
外務省は、鈴木宗男氏と共犯関係にもかかわらず、あいかわらず、
ほとんど無傷で生きのびようとしている。鈴木宗男氏が外務省に
圧力をかけて、思いのままに振る舞えた原因は、外務省の体質
そのもの、伏魔殿にある事を、国民は深く認識すべきである。
機密費でやりたい放題だった下っ端の外務省職員が捕まり、
外務官僚vs田中真紀子前外相の構図で、国民の注目をひきつけ、
NGO、ODA問題の切り込みで、鈴木宗男氏の疑惑まで、やっとたど
り着いた。しかし、私から見れば、それは、外務省にとって都合
の良い、鈴木宗男氏という個人に犯罪をかぶせたトカゲのシッポ
切りで、伏魔殿、外務省は、何とか逃げ切りを図っているとしか
見えない。国民が決して見逃してはならない最も重要な問題は、
総計6000億円近いODA費、機密費、円借款、諸謝金(政治
献金)、渡切費、等の徹底した解明である。官僚は、本当に日本
にとって必要か。明治以来引きずってきた、疲弊した中央集権的
官僚主導型国家を、一度創造的に破壊せねばならないと考えるのは、
私だけであろうか。

  京セラの会長、稲盛氏の教え、「動機善なりや。私心なかりしか。」
が、妙に、心に響く。更迭後、黒塗りの公用車に乗り、外務省を
大手を振って闊歩する野上氏の姿を、不快に感じるのは、私だけ
であろうか。

                       平成14年3月17日(日)鈴木誠一拝