雑感96 <宮城県緊急経済産業再生プラン。>


 先頃、宮城県緊急経済産業再生プランが、浅野宮城県知事から発表された。
今まで、浅野宮城県知事が、福祉以外で、まとまった宮城県の経済産業再生
を出したのは、初めての事ではないだろうか。その意味では、大いに価値が
あると考える。

 宮城県緊急経済産業再生プランの骨子は、
1、活力ある地域経済の再生、
2、新規産業の創出、
3、企業誘致の拡大、
4、雇用環境の改善、の4項目である。
経済産業再生策として、
1、中小企業の再生、
2、企業の再生(新規成長産業の創出)
雇用対策として、
1、雇用緊急確保、
2、企業誘致の拡大、
3、身近な社会資本の整備、
4、生活者の支援、を掲げている。

 6項目の戦略テーマに沿った15のプロジェクトと43の事業が動き始める
という。総事業費は、521億円(宮城県支出額は、303億円)14500
人の雇用創出と、60社の企業誘致を目指すという。ワンストップ就職支援セ
ンターを設置して、雇用促進をはかる。身近な社会資本の整備は、耐震化を中
心にした社会資本の整備を掲げ、耐震化関連の公共事業を105項目掲げる。
多機能型地域ケアホームの建設するという。環境リサイクル、中小企業企業再
生、成長支援の為の金融制度、無担保クイック保証制度、速支援ローンを設置
するという。

  銀行の不良債権処理が加速される中、1985年以降、826社の企業が、
債権放棄している。2001年は、過去最高の251社、2002年は、159
社に達している。2003年10月の全国企業倒産は、1387件8510億円
である。債権放棄を受けたものの、倒産に至った企業は、826社の内、196社、
23.7%に達する。中小企業の倒産、廃業にいたっては、日常茶飯事である。 

  まず、今回の宮城県緊急経済産業再生プランは、経済産業再生の具体的施策が
皆無に近い。企業誘致の拡大が、産業再生につながるというお役人の認識がまず
疑問である。県内にある企業に働きかける、いかに具体的に経済政策を進めるか
が皆無である。現場を全く知らないお役所の机上だけの空理空論には、ただただ
開いた口がふさがらない。 

 私は、建設産業の一端を担うものとして、公共事業の量が、地方の中核都市に
かかわらず、最低水準にある事実を、知事には、よく現状認識していただきたい。
マスコミによるすっかり悪役のレッテルを貼られた建設業は、苦境にたたされて
いる。建設業は、最低の水準にある宮城県の公共事業はあてにならず、官公需の
低迷だけでなく、民需をも冷え込ませ、一層の請負単価の低下、受注競争の激化
を招いている。ゼネコン、不動産・住宅、流通、製造、第三セクターで、多額の
負債を抱えて、倒れていく仲間の企業の倒産は、今や、枚挙にいとまがない。
私が、身を置く建設業だけでなく、県内の製造業、小売業、サービス業も、需要
低迷による単価の低下、購買力の低下、大型店進出等で、大苦戦していると聞く。

 リスクと企業的責任をとったことのない、お役人、政治家、学者だけでなく、
日々悪戦苦闘で、実際に闘っている各業種の現場の声に、もっと耳を傾けるべき
である。不況の時だからこそ、官公需の地元優先発注、地場産業の育成を、最大
のテーマにすべきではないか。決して、県外の企業誘致を拡大して、税収を上げ
ることが、宮城県緊急経済産業再生プランの中心的骨格であってはならない。
本末転倒もはなはだしい。時代に合わない機能しない法律は、即時撤廃して、一件、
一件、予算編成でも、民間にもっともっとオープンにすべきで、民間の知恵を借り
るべきである。まず、デフレによる資産劣化の現状を直視すべきである。銀行の担
保主義の現状、中小企業の生の声を聞いてほしい。生活に密着する公共事業、社会
資本の整備は、不況時には、景気浮揚にも有効であることは論を待たない。特に、
業績不振業種別に具体的に需要低迷をどう払拭するかのより掘り下げた具体的な行
政的なしかけ、施策、アイデアをもっともっと明確にすべきではないか。今や、き
れい事のかけ声だけの一般論、抽象論はいらない。知事さん、各業界の現場へ行って、
実際に困っている地元企業の実情を探し出し、直視し、生の声を聞いてほしい。
宮城県の経済産業再生は、まさに今こそ、知事をはじめとする政治家の時代感覚と
実行力にかかっているのではないか。
 
                    平成15年12月30日(火)    鈴木誠一拝