雑感75
<小泉改造内閣、最優先の政治的課題。>

   9月30日(月)小泉改造内閣が発足した。新たに、
6人が入閣、主要閣僚ら11人は続投した。BSE(狂
牛病)で武部勤農相、防衛庁の情報公開請求者リスト作
成問題で、中谷元防衛庁長官も引責交代させ、けじめを
つけた。農相に大島理森氏を、防衛庁長官に、石破茂氏
を起用した。石破氏は国防族、鷹派で、有事関連法制の
早期整備、有事関連3法案の早期成立を目指す事が明白
となった。その他、環境相に鈴木俊一氏、沖縄、北方対
策相、国家公安委員長に、谷垣禎一氏、科学技術相に、
細田博之氏、防災相に、鴻池祥肇氏を起用し、思いの外、
中規模改造になった。従来型の派閥順送り人事を無視し
た政策通の中堅議員を配するバランスを取った小泉首相
の衆知独裁の人事と評価できる。

 今回の小泉改造内閣で最も注目すべきは、金融機関へ
の公的資金投入に慎重、否定的だった柳沢伯夫氏を交代
させ、更迭した事は、不良債権処理の加速させる小泉首
相の大きな政策転換、重い決断と考える。金融担当相は、
留任の竹中平蔵経済財政担当相に兼務させ、不良債権問
題の抜本解決に向けた決断と考える。銀行の資産査定を
厳しくし、自己資本を精査した結果、必要なら大手銀行
への公的資金を投入する事が明白となった。政府の公的
資金の追加注入が現実味を帯びてきた。これによって、
過剰債務を抱える不振企業の整理、統合も加速されると
考える。政府、日銀が一体となって不良債権処理をでき
るだけ早く終結させる決断をしたと考える。不良債権
を処理すれば倒産も相当出るが、雇用面などの安全網
(セーフティーネット)を拡充する対策が合わせて必要
である。公的資金を投入しても、不良債権の処理を加速
したいという小泉首相のはっきりした経済政策転換であ
る。

 「構造改革なくして景気回復無し。」と言った小泉首
相の経済政策の非を率直にまず認めるべきである。大手
12行が保有する株式の9月末の含み損が、3兆544
7億円と、3月末の1兆2922億円から約2.7倍に
急増した現実は、小泉構造改革がなしえた現実的な失政
であった事を明白に表している。数字はうそをつかない。
小泉構造改革の経済的な失政をまず認めた上で、公的資
金投入やむなしの政策転換をすべきである。小泉メディ
ア、イメージ政権は、メデイアを通じてのパーフォーマ
ンスには優れているが、本当に経済を学んでいるのかと
疑いたくなる。公的資金注入の腹を決断したのなら、金
融システム健全化とデフレからの脱却を図るべき具体策
を早急に打ち出すべきである。2004年度までに不良
債権問題を終結させるという覚悟なら、明確に具体案を
提言してほしい。経済は生き物である。スローガンだけ
で、経済は回復しないのである。不良債権処理は、銀行
の体力の範囲で処理を進める漸進的な政策から、公的資
金の投入をも視野にいれた不良債権処理の加速策、強硬
策への具体策と国民に明示すべきである。

  不良債権の早期処理の為には、
1、厳格な資産査定、
2、銀行の自己資本の十分な検討、
3、銀行経営のガバナンス(統治)の発揮、
の金融行政3原則査定を厳しくした結果、銀行の自己資
本が不足した場合には、公的資金の再注入に踏み切る。
不良債権処理を進めた場合、ゼネコン、流通など大口債
務企業や中小企業が淘汰され、今以上に強いデフレ圧力
を生じさせる可能性が高い。小泉改造内閣の新体制の下
で、不良債権の最終処理策を早急に具体化すべきである。
産業再編や雇用対策を含む総合的な政策を希望する。非
常時には市場の機能を回復させるためのデフレ脱却への
経済政策が望まれる。企業は、今、不良債権の重圧と土
地安、株安による含み損にあえいでいる。最大の経済課
題であるデフレ脱却のための対策を、並行して進めてい
く必要がある。金融機関の抱える不良債権も、デフレの
進行で、処理が追いつかないという現実がある。歯止め
をかけるためにも、まずデフレから抜け出すことが緊要
である。 需要を喚起し、経済を活性化するためには何が
必要か。構造改革への痛みに力点を置いてきた従来の路
線を大修正、大転換し、企業の生産意欲や消費者の購買
意欲を刺激する路線に早急に改めるべきである。企業の
研究開発や設備投資に対する減税の実施、贈与税の非課
税枠拡大、都市再生など、旧来型ではない公共事業を核
とした補正予算の編成、そして何よりも肝要と考えるの
は、このデフレ病理の最も深い原因である資産デフレの
解消である。銀行保有株買い取りという日銀の異例の方
針も禁手のそしりもあるが、土地と株を上げる為の考え
られるあらゆる手を打たねばならないと考える。日本の
経済が沈没してしまっては、構造改革、どころではない。
経済の再生に向けた政治的決断を、今は最優先に実行し
てほしい。

           平成14年9月30日(月) 鈴木誠一拝