雑感105
<改めて問う。脱デフレ政策。?>

 バブル崩壊後、失われた10年といわれて、未だにデフレ経済の出口が見え
ない。日本のデフレ経済ののキッカケを作ったのは、橋本内閣の消費税を3%
から5%への引き上げが、上向きかけた景気の腰を折ったことを銘記すべきで
ある。又、現在ある不良債権の70%は、小泉内閣になってから発生したこと
を忘れてはならない。金融は、経済の血液であり、金融(血液)が、回らなけ
れば日本経済は、崩壊する。失われた10年で、1400兆円の個人金融資産
に匹敵する富を失った。日本のデフレ経済のの最大のネックとなっている岩盤
は、50兆円の不良債権である。 

 デフレとは、物価が持続的継続的に下落する経済現象をいう。政府のデフレ
対策で、デフレを加速しているのが現状である。デフレ経済の露呈により、供
給過剰、需要不足、生産抑制、通貨収縮、失業者増大、企業収益悪化、倒産増
大、デフレスパイラル、経済閉塞感、とデフレの泥沼からのなかなか脱却でき
ない状況になっている。

 今、消費者が物を買わない理由を5つ考える。
1、住宅ローン等過去の債務が大きい。平均1700万円の住宅ローンで苦し
  んでいる。
2、老後の不安。デフレ下では、現金を持つことが、最も安全と考えている。
3、資産所有のミスマッチ。若年層が金も仕事も無く、70歳以上の高齢者が
  55%の  資産を有している。
4、若年層の3人に1人がフリーター(プータロー)経済力がない。
5、成熟化市場で特に欲しい物がない。

4つのデフレ原因を掲げる。
1、バブルの崩壊。
2、中国の経済台頭による生産の海外移転、空洞化、中国の安価な輸入品の流入
  激増。
3、グローバル経済の進行。
4、技術革新。

 現在、ほとんどすべての企業は、借金返済に追われているは異常である。
 企業は、借金減らしに懸命である。多くの企業は、債務の負担が重くのしかか
 っている。企業が、借金返済を最優先していることが、デフレ不況の本質的問
 題である。中小企業を襲うデフレ不況の4つの危機を指摘する。
1、取引先の倒産による連鎖倒産、お得意先の消滅、売上激減。
2、底なし沼の販売単価の下落。
3、製造業の中国等への海外移転による空洞化、廃業、倒産。
4、メインバンクの破綻。
我社もそうだが、建設会社、ゼネコンに販売している場合、一般に、お得意先数
社に、売上の大部分を依存していることが多く、危険分散がなかなか難しい。信
用不安で、お得意先、売り先を変更することがなかなか難しい。ゴルフ場、建設、
ゼネコン、不動産、流通業界は、価値が急落した資産を持ち続けている。債務返
済で、資産売却を迫られる。中小企業の経営者は、身ぐるみはがれて、生活基盤
そのものを失ってしまう。一方、大企業は、更正法、再生法という悪法、債権放
棄という平成の徳政令で、手形不渡りという形で、つけを末端の中小企業に肩代
わりさせる。破綻企業は、90%の借金、債権をカットされ、身軽になって又、
市場、戦線に復帰する。損益分岐点の低い新興企業の台頭する新陳代謝がおこる。
健全企業まであおりを受ける。デフレのままでは、産業再生も財政再建も難しい。

 企業は、必死にリストラに取り組み、無駄な資産を処分し、スリム化し、バラン
スシート(貸借対照表)をスリム化する。コストを圧縮して、手元の現金を増やす。
キャッシュフロー経営に徹しきる。デフレ下では、企業の資産価値が下落し、銀行
は、金融庁から引当金の増額を迫られる。不良債権加速策は、貸し渋り、貸しはが
しの信用収縮を助長する。不良債権処理を急げば、ハゲタカファンド(倒産企業の
債権を安値で買取り、回収して莫大な利益を上げる外国企業)に、日本の優良資産
が食い潰される。日本のデフレ圧力は、アメリカのハゲタカファンドにとって、絶
好の買場、ビジネスチャンスである。債務デフレによる経済収縮をいかに食い止め
るのか。?現実的には、土地担保力が、銀行の融資姿勢に大きく影響している。土
地と株に立脚した日本的担保主義金融システムの構造に問題がある。不動産担保主
義からの決別が急務である。負債デフレ(デッドデフレーション)資産デフレは、
担保価値を下げている。日本の金融システムは、中央集権的にシステムに依存し
すぎている。デフレの核心は、企業の過剰債務にある。不良債権を正常債権にして
いくかが、本来の銀行の金融仲介機能の役割りのはずと考えるのだが。

 デフレは、供給過剰が原因だろうか。?重要不足が原因だろうか。?供給過剰が
原因ならば、過剰生産設備、過剰雇用調整で、多くの企業倒産、失業者増大をもた
らす。重要不足が原因ならば、需要追加策が求められる。小渕内閣で大型の景気対
策を続けた為に、財政悪化を招き、財政政策が限界に達し、金融政策に頼るしかな
いというのが現状である。財政と金融を分離した意味をきびしく再考すべきである。
セイの法則では、「供給は、それに等しい需要を作り出す。」という。ケインズの
法則(有効需要の法則)では、「需要が、供給(経済活動の水準)を生み出す。」
という。今、需要管理型経済運営が主流である。経済のグローバル化によってこの
需要管理型経済運営の限界が露呈してきた。デフレ(物価下落)とデッド(企業の
過剰債務)の悪循環を絶たなければ、経済再生はできないと考える。破れバケツに
水を注ぐようなものである。資産デフレは、土地(不動産)株式価格が暴落するこ
とで進行した。デフレの主因は、需要不足である。土地と株で1400兆円富が奪
われた。借金返済で20兆円、消費から貯蓄に廻ったお金が20兆円、360万人
の失業者を生み出した。株価が1000円下がれば、単純計算で、資産が30兆円
減る。今や不動産は負動産に変わった。資産デフレは、実に12年連続下落してい
る。合計80兆円の不良債権は、いくら処理しても、景気低迷、地価下落で、新た
なの不良債権が発生してくる。金融、財政等のケインズ型の需要創出策は行き詰ま
っている。かつて成功を実現した行政、産業、メディアの複合構造が、強固に確立
した為、システムだけでなく、思考そのものも固定化されてしまった。一般物価
(物価全体の平均)より、不動産、株式の資産価格が、極めて深刻である。地価、
株価の急落による資産デフレが元凶であることを銘記すべきである。日本の不況は、
需要不足によるものであり、供給側の効率を高めることを目的とした小泉流構造改
革では、決して解決できないと考える。資産デフレ、地価下落、株価下落のの最大
の要因は、政府の無策による。いかにすれば、資産デフレを食い止められるのか。?

 日本の国の姿が見えない。断言型の大統領的首相、小泉首相は、「構造改革無く
して、景気回復無し。」「国から地方へ、官から民へ。」と相変わらずの中身の無
いキャッチフレーズ連発である。「構造改革無くして景気回復無し。」は、空虚な
改革の喧伝に過ぎない。党あって国無し。総論的掛け声だけである。1、金融政策、
2、不良債権処理、3、税、財政改革、4、構造改革。は、大枠では、間違った方
向ではないが、具体策が、未だ見えないし、実効が上がってない。行政に権力が集
中し過ぎである。富の首都集中と痛みの地方転嫁という首都主導型の再生シナリオ
が、果たして本当に日本再生の最善のシナリオだろうか。普通の不況なら耐えられ
る企業まで、不良債権と化している。今日本のGDP(国内総生産)の6%が、借金
である。アメリカ恐慌時は、30%の借金であった。実力を持つ企業の無駄死にが、
いかに多かったことか。今税収50兆円の中で、30兆円の国債発行し、日銀は、
ただひたすら、長期国債を買い続けている。今までの官僚的仕組みは、その歴史的
な役割をとっくに終えた。日本の公的部分が多すぎる。全体の20%に匹敵する。
急激な変化を望まない官僚にとって、彼らに使いやす過ぎる法律で、既得権益を持
つ巨大な官僚機構が、諸悪の根源である。彼らの天下りの温床の特殊法人は、すべ
て一度解体すべきである。官が監視しているからうまくいくという見方、考え方は、
時代錯誤で、大いなる誤解である。明治以来の旧態依然の中央集権的、官僚的すべ
てのシステムが、矛盾、負のエネルギーとして、ほころびはじめている。仕組みを
どのように変えていくのか?。日本経済という巨艦の向きをどのように変えていく
のか?。規制緩和、財政支出の縮小を伴う小さな政府をいかに作り出すのか。?。
明治維新では、すべての秩序を壊すことから始まった事を歴史に学ぶげきである。
小泉内閣よ。具体的デフレ克服策を示せ。

  最後に私が考える脱デフレ政策を具体的に掲げる。政治家、官僚諸氏は、是非、
意図するところ汲み取り、この提言した政策の実現を期待するものである。まず、
民需創出こそ王道と考える。民力再興、日本経済の閉塞を自らの手で破る。需要
を創出する為に、総力をあげるしか道はない。政府の財政投入による需要の創出
が必要である。幸いにまだ、1400兆円の個人金融資産がある。この資産を生
かしきる政策、資産デフレからの脱却が大命題である。具体的には、
1、子供、孫への贈与税、相続税を3年くらいの時限立法で、3000万円を無
  税(非課税)にする。金融資産は、70歳以上の人が、55%を占め、住宅、
  教育にお金のかかる若年層は、資産が少ない。住宅新築、リフォーム、教育
  への援助を目的とした贈与税、  相続税を無くし、土地の流動化をはかる。
2、不動産取得税を3年くらいの時限立法で廃止する。不動産、株式に対するあ
  らゆる税を、3年間停止する。3年くらいの時限立法で固定資産税減税により、
  土地の流動化をはかる。不動産市場の流動性、土地の収益性を高めることが
  最大の地価対策である。
3、日銀が毎年1〜3%のインフレ率を目標に掲げる。インフレ期待醸成の為の
  1〜3%のインフレターゲティング(物価安定目標)を目標に、インフレ実現
  の強い意志を表示する。デフレは悪であり、マイルドなインフレは善であるこ
  とを宣言し、インフレ目標を達成するまで量的緩和を続けうことを日銀が宣言
  する。緩やかなインフレーションへの転換を日銀が宣言する。
4、税金の徹底した歳出カットに勤める。経済価値を生み出さないタックスイータ
  ー(官僚、政治家、公務員)の人数を極力縮小、激減させる。
5、税源と権限を大胆に地方に委譲する。地方にできる事は、地方に。民間にでき
  る事は民間に。国からのひも付き補助金行政をすべて無くす。地方の資金の目
  詰まりを考えた場合、地方主権、地域主権の実現こそが、中央に対する地方の
  従属を解決するもので、東京と地方の格差を是正するものである。不況の時こ
  そ、疲弊する地方経済と地方の社会資本を整備すべきである。大きな地方、小
  さな政府を実現する。沖縄、高知、島根、北海道で20%も公共事業に依存し
  ているのが現状である。東京、愛知、静岡、神奈川で7%しか、公共事業に依
  存している。地方には、きわだった地場産業がすくないのである。公共事業は、
  地方では、死活問題である。公共事業は、地方の雇用創出である。地方では、
  公共事業を通じての社会資本整備のの前倒しが必要である。地方と、大都市圏
  と同列で論じることは、意味をなさない。需要を生み出す意味ある財政支出と
  は、民間需要、消費需要を誘発するものである。直接金融で地域に還元する事
  が急務である。
6、地域社会で、ビジネス機会を生み出す規制緩和で、チャレンジする機会を増や
  すべきである。郵便局の貯金や、簡易保険を、地方銀行に回すべきである。
  公共サービスの民間委託も必要である。
7、土地本位制担保主義から売掛債権担保融資による保証制度を拡充すべきである。
8、円安にし、資産価格を上昇させ、実体経済を上昇させるべきである。

 富をいかに創造したらよいのか。ケインズは、デフレは、インフレより厄介とし
ている。不況とインフレが同時進行するスタグフレーションという最悪状況だけは、
避けなければならない。1400兆円の個人資産をどう生かしきるか。?資産デフ
レを食い止める土地の流動化をいかに活発にするのか。?ここ1ヶ月の地価の下げ
止まりは、うれしい傾向である。デフレ脱却を強く望むものである。

ジェームズトービンは唱える。「資産価格の下落が、人々の富を減らす。」

                     平成17年3月24日(木)鈴木誠一拝