最愛なるカウントベイシーサウンドに対する熱き想い 雑感111、 最愛なるカウントベイシーサウンドに対する熱き想い
 
 人は誰に出会うか、何に出会うかによって、人生の大半が決定される。
人生の運命づけは、出会いにある。ベイシー様、私は、あなたの音楽の
すばらしさに心を奪われて35年になります。又ご機嫌なジャズ、ダイ
ナミックなベイシーサウンドを生で聴けると思い、この一ヶ月の間、
ワクワク感で、心待ちの豊かな時間が流れました。

 1984年4月にこの世を去った今は亡きビッグバンドの巨匠、ウィ
リアムカウントベイシー(1904〜1984)は、1904年8月
21日、ニュージャージー州レッドバンクに生まれた。故カウントベイシ
ーは、今年で101回目の誕生日を迎えた。ベイシー楽団結成70周年
を迎えた。1963年初来日以来、日本の熱狂的なベーシーファンの心を
わしづかみにした。イギリス王室からの招待公演や昭和天皇陛下への表敬
演奏を行なうなど、ベイシー黄金時代を築いた。代表曲である『One O’
clock Jump』『Jumpin’at the Woodside』等でカウントベイシーオー
ケストラは、2度の「栄光の殿堂入り」を果たし、15回ものグラミー
賞の栄冠に輝いた。ベイシー没後は、エリックディクソン(TS)、サド
ジョーンズ(TP)、フランクフォスター(TS)、グローバーミッチェル
(TB)らがオーケストラの伝統を継承し、演奏ツアー活動やレーコード製
作を行なった。グローバーミッチェルが10年間にわたりリーダーを務め、
グラミー賞を、1997年、1998年と2年連続受賞するという快挙を
成し遂げた。2003年グローバーミッチェルが他界した後、人格者ビル
ヒューズ(TB)(1953〜2005)が受け継ぎ、半世紀にわたりベー
シーサウンドを支えてきた。2004年にはカウントベイシー生誕100
年を迎えた。結成70周年を迎える今年も一人一人がベイシーの音楽理念
を忠実に継承しながら、ベイシーサウンドの本質を追求、受け継いでいる。

 ベーシーサウンドは、サムネスティコ、ニールヘフティ、アーニーウィ
ルキンス、ビルホールマン、ビリーバイアース、ベニーカーター、クイン
シージョーンズ、デニスマッカレル、デニスウィルソン、ボブオヘダ、
アンリファーガソン等の名作編曲者、名アレンジャーによって洗練された
ビッグバンドサウンドに進化させた。リーダービルヒューズ(William 
H.BillHughes)は、バストロンボニストで、1953年、フランクウェス
(TS)の推薦により、カウントベイシーオーケストラに入団し、ヘンリー
コッカー、ベニーパウエルと共にトロンボーン3管隊を組み、最高のトロ
ンボーンセクションと評された。また17枚のグラミー賞受賞作品のうち、
15作品でレコーディングに携わり、『April in Paris』『Shiny 
Stockings』『Corner Pocket』など数々の大ヒット作品を世に送り出した。
エラフィッツジェラルド、サラヴォーンなどの名歌手ともレコード製作や
コンサートを数多く経験した。 総帥カウントベイシーと半世紀もの長期に
わたりジャズ演奏活動を共にした数少ない後継者の一人である。

 今回のカウントベイシーの仙台公演に先立って、亡きカウントベイシーから
直接『Swify』という愛称をもらった早大ハイソの敬愛する先輩の一関ジャズ
喫茶「Basie」の菅原正二氏に、特別依頼していただき、仙台市の西公園にある
プラネタリウムで、カウントベイシーの生の演奏を聴いていただける夢の企画が
実現した。プラネタリウムでのカウントベイシー視聴会では、Drumsのブッチマイ
ルス、Pianoのトニーサッグス、Trumpetのウィリアムスコッティバーンハート、
Tromboneのデビッドカイム、クラレンスバンクス、Tenor Saxのダグローレンス、
ダグミラー、Alto Saxのマーシャルマクドナルド、グラントラングフォードが
快く参加してくれた。マイク、PA無しの生演奏は、まさにジャズ演奏の醍醐味を
満喫させてくれた。リーダーのビルヒューズは、客席で、リラックスして、聴衆
の一人としてファンタステックな音楽空間を演出してくれた。1975年カウン
トベイシーオーケストラに参加した当代きってのビッグバンドドラマー、ブッチ
マイルスは、プラネタリウムで楽しそうにクリスプなリズムを刻んでくれた。
アンコールで演奏された『Star Dust』では、ホーン陣の重厚な即興のアンサン
ブルで、プラネタリウムは、ハイソサエティな雰囲気でおおわれた。

 プラネタリウムの演奏が終わってSS30の最上階で、熱狂的なベイシーファン
有志でベイシーメンバーに対する感謝の気持ちを込めて、Wellcome晩餐会を開催
した。メンバーには、能の舞台を鑑賞していただき、東洋の神秘に深い興味を
しめしていた。ベイシーへの熱い想いを夜遅くまで語り合った。10月27日
(木)は、Trumpetのウィリアムスコッティバーンハートの42歳の誕生日に当
たり、祝福のメーセージで大いに盛り上がった。場所を1階のラウンジバーに
移し、ピアニストのトニーサッグスが、ブルージーな演奏を披露してくれ、贅
沢な豊かな時間を堪能した。

 さて、メーンイベントの電力ホールでのコンサートの皮切りは、1930年
代創成期の『Moten Swing』で幕を開けた。オールアメリカンリズムセクショ
ンの刻むビートで、思わず目頭が熱くなり、身震いし出した。めくるめく感動
に酔いしれる。ベイシーは、独学でストライドピアノを学び、ベニーモーテン
楽団で、サイドピアニストとして活躍した。ベニーモーテン没後、ベニーモー
テン楽団を受け継ぎ、ベイシーがバンドリーダーとなり、ここに「カウントベ
イシーオーケストラ」が誕生した。そんなベイシーに対する敬愛の意味をこめ
て、リーダーのビルヒューズが『Moten Swing』を選曲したのだろうとうれし
く思った。仙台公演は、1983年に総帥カウントベイシーが車椅子で宮城県
民会館のステージに上がって以来、なんと22年ぶりの仙台公演である。地元
の熱狂的なベイシーファンには、待ちに待った公演となる。セットリスト(演
奏曲目)は、公演当日のリハーサル時にリーダーから全メンバーへ知らされる
ようである。それゆえに、毎夜が見逃せない一期一会のコンサートとなるのだ
ろう。『Swify』こと菅原正二氏をはじめ、ベーシーツアーのすべての行程を、
ベイシー楽団と共に聴いてまわるファンには、実に頭が下がる。お待ちかねの
お馴染みのナンバーが続き、ボルテージはヒートアップし、感動で会場は盛り
上がる。リズムセクションの一糸みだれぬ一体感と、ブッチマイルスのダイナ
ミックなドラムフィルが、演奏全体を大いに盛りあげてくれる。ステディな
ビートを繰り出す表現豊かなベース。ジェームスリーリ、フレディーグリーン
も喜んでいるであろう4ビートの刻み。カッティングのギター、ウィルマシュ
ーズ、効果的なソロとコンピングをみせた軽やかなタッチのベーシー再来のピ
アニスト、トニーサッグス。ここに『世界で最もスイングするビッグバンド』
が自由自在に感動という名のステージを演出する。ホーンセクションの張り裂
けるようなアンサンブルが、追い討ちをかけ、そのダイナミックレンジの広大
さに酔いしれる。バランスの良いブラスのダイナミックな重厚なサウンド。
サキソフォンセクションのブルージーなリフ。これぞビッグバンドのリード
トランペットとうならせる1st Trumpet、マイケルPウィリアムスの突き抜け
るハイトーン。マーシャルロイヤルを彷彿とさせる1st Alto、マーシャルマク
ドナルドのリリカルな艶のある音色。絶妙に練り上げられたソロ構成に、感嘆
の声が上がった。『Li’l Darlin’』では、これぞ4ビートの乗りといった
ゾクゾクするほどの4拍目の緊張感。スヌーキーヤングに勝るとも劣らない
スコッティバーンハートの甘いトランペットソロがフューチャーされる。
『Duet』では、スコッティバーンハートとアンドレライスの巧みなミュート
さばきは絶品。『Jumpin’at the Woodside』では、ダグローレンス、ダグ
ミラーによる壮絶なテナーバトルは圧巻、これぞベイシーサウンド。フランク
ウェス、フランクフォスターの2フランクス、又エリックディクソン、ジミー
フォレスト等、時代が変わってもベイシーのテナーマンは、健在なり。 
『Basie Power』では、今年からベイシーバンドに参加した新メンバーのアル
トサックス、グラントラングフォードの火の出るほど強烈な高速アドルブ。
『Wind Machine』『Whirly Bird』アップテンポテューンでのテナーサックス、
ダグローレンスの豪放なブロウ、ブッチマイルスの華麗なドラミング。定番
『Shiny Stockings』『Corner Pocket』『One O’clock Jump』では、会場
はリラックスした雰囲気と笑顔に包まれ、決めのフレーズのブッチマイルスの見
事なスティック捌きに、聴衆は、一体感を体感した。『In a Mellow Tone』で
は、「タバラバタバラバタバラバダッタ、タバラバダー、タバラバダゥダゥー・・
・・・。」と思わず口ずさんでしまった、うねるような美くし過ぎるサックスソリ、
ダイナミックにスイングするアンサンブルは、感涙ものだった。Female Vocal
メルバジョイスを迎え、『Lover Come Back to Me』で、そのふくよかな体
から発せられるブルースフィーリングと躍動感あふれる迫力ある歌声を披露。
サッチモが絶賛しただけある魂の叫びがこもっていた。アンコールで、お馴染
みの『April in Paris』では、エンディングで、期せずして、会場から
「ワンモアタイム。!」という掛け声がかかり、繰り返されるエンディングで
終演となった。今回のニューベイシーコンサートは、私の生涯において最も感
動したコンサートの一つで、将来性のあるジャズの才能を持った若いミュージ
シャンとベテランとのサウンドのコントラウトの妙味がすばらしく、世代を超
え、ベイシーファミリーの一体感、結束力を強く感じうれしくなった。演奏後
もスタンディングオベーションは鳴り止まず、ベイシーサウンドの余韻に浸っ
ていた。贅沢な感動の一時を共有した心温まる幸福感で包まれた。

 打ち上げは、ベイシーファン有志で国分町のジャズクラブ、LLLで開催した。
リーダーのビルヒューズ、ピアニストのトニーサッグス、リードトランペターの
マイケルPウィリアムスとお話しをすることができた。マイケルPウィリアムスに
は、我々のテーブルに座っていただき、熱心に、紙に書きながら昨年暮、仙台公
演の時、早大ハイソのリードトランペットだった片倉正博君に、ハイトーンの練
習法を教えている姿が、印象的だった。マイケルPウィリアムスは、実に気さくで
愉快なミュージシャンですね。鈴木惣介先輩が、心のこもった英語で歓迎、打ち上
げ、感謝のスピーチをされた。トニーサッグスの流麗なピアノを楽しみながら、
豊かな時間を過ごした。やしろ先生、五十嵐先生、白津守康さん、浜野ケイ子さん、
米竹先輩、能楽師山中さんなど多くの熱心なベイシーファンの協力で、愉快な楽し
い2日間が実現したと感謝に耐えません。

 今もなお私の心に生き続けるウィリアムカウントベイシーが夭逝して早21年が
経つ。早いものだ。ベイシーの偉大な意思と崇高な音楽理念の下、現在もなお、
ベイシーの子供達、孫達がベイシーサウンドを大事に受け継いでいる。最高にスイ
ングするバンドは、ノスタルジックなムードへと我々を誘い込んでくれた。カウン
トベイシー、永遠に愛すべき伯爵は、トニーサッグスというすばらしいベイシーの
後継者を得て、ここ仙台で息を吹き返した。若々しく活気にあふれたドレッドロッ
クスというらしいの髪型のトニーサッグスは、ベイシーの再来といわれる気さくで
ひょうきんなピアニストだった。今は亡きベイシーを髣髴とさせる音数の少ないス
タイルのピアノを存分に披露した。絶妙の間、音のないところで音を感じ、スイン
グする。今もなお本物であり続ける至宝のドライブ感、スイング感は、70年間、
聴くものすべての人々の心の琴線をゆすぶって止まなかった。ベイシーサウンドの
真髄は、心地良いご機嫌なスイング感である。ベイシーは語る。『ステージの上が
私の天国。』『自分の思うようにプレイしなよ。それが自分の物語なのさ。』菅原
正ニ氏は、ベーシーサウンドを『統率のとれた自由』と表現している。演奏技術を
超えた彼らの思想、人生、魂、喜び、苦悩、そのすべてがベイシーサウンドにこめ
られている。形はまねられても、心はまねられない。やはり、ベイシーサウンドは、
本物のベイシーでしか聴けないと実感した。ハートフルでウィットに富んだスイン
グするベイシーサウンドが、これからも背筋をぞくぞくさせ、聴く者すべての人を
幸せにしてくれるだろう。 この二日間、ベイシーサウンドにどっぷりっと浸りきっ
た。至福の一時、最高の幸せだった。粋で繊細な最少の音符で最大のスイング感、
豪放なダイナミックレンジのご機嫌なドライブ感、アフタービート、あと乗り、一
糸乱れぬアンサンブル、私は大好きである。これぞ究極の美学。ベイシーサウンドは、
永遠に世界中の人々に愛され続けることだろう。カウントベイシーサウンドとスピリ
ッツは、私の心の中に生き続ける。ベイシーサウンドは不死鳥なり。
Keep Swinging Basie Sound Forever.!!!
                  平成17年10月28日(金)鈴木誠一拝

カウントベーシーミニライブinプラネタリウム


ビバップスを聴いて下さいね。

   
星に願いスイング
今夜「カウントベイシー」ミニライブ
仙台市天文台プラネタリウム館
市民グループが企画
ライブハウス化呼び掛け
仙台市天文台プラネタリウム館(青葉区)で10月27日(木)午後6時、
ビッグバンドジャズの最高峰「カウントベイシーオーケストラ」のミニ
ライブが開かれる。市民グループ「西公園にライブハウスをつくる会」が
企画した会員限定のイベント。メンバーは、新天文台の建設に伴い、取り
壊される運命のプラネタリウム館を残し、ライブハウスにしようと呼び掛
けている。カウントベイシーオーケストラは、音楽界の巨匠。ウィリアム
カウントベイシー(1904〜1984)が生んだジャズバンドで、ベイ
シー亡き後も世界中のファンに支持されている。一行は22年ぶりの仙台
公演を28日に控えながらも、つくる会の呼び掛けに賛同、プラネタリウ
ム館で1時間だけ特別公演する。ライブは会員限定で行われるが、即日入
会(会費千円)すれば参加可能だという。市は2015年度開業の地下鉄
東西線ルートと重なるため、西公園の現天文台を取り壊して、青葉区錦ヶ
丘に移転新築する計画。これに対し、つくる会は、プラネタリウムの存続
と再利用を求めている。プラネタリウムでは2003年にサックス奏者の
坂田明氏、2004年に早大ハイソサエティーオーケストラがミニライブ
を開き、いずれも「良いライブハウスになる」と太鼓判を押している。
(河北新報2005年10月27日(木)夕刊1面掲載文)

「西公園にライブハウスをつくる会」入会会費は、ベイシーメンバーの
ニューオリンズに居を構えるトランペッター、アンドレライス氏を通じて、
ニューオリンズのハリケーン義援金としてお送りいたしました。
ありがとうございました。アンコールのStar Dustの演奏は、すばらしい
即興の分厚いアンサンブルで、身震いするほどの美しさでした。
150人の仙台のベイシーファンに感動を与えていただきました。
  カウントベイシーミニライブinプラネタリウムでの特別公演風景。
    
Members
Leader&Trombone、ビルヒューズ Bill Hughes
Saxophone Section
1st Alto、  マーシャルマクドナルド Marshall McDonald(アルト)
3rd Alto、  グラントラングフォード Grant Langford(アルト)
2nd Tenor、  ダグローレンス Doug Lawrence(テナー) 
4th Tenor、  ダグミラー Doug Miller(テナー)  
5th Baritone、ジョンウィリアムス John Williams(バリトン)
Trombone Section
1st Trombone、 デビッドカイム David Keim  
2nd Trombone、クラレンスバンクス Clarence Banks
3rd Trombone、アルビンウォーカー Alvin Walker
4th Trombone、バリークーパー Barry Cooper
Trumpet Section
1st Trumpet、マイケルPウィリアムス Michael Williams
2nd Trumpet、ウィリアムスコッティバーンハート William Scotty Barnhart
3rd Trumpet、ショーンCエドモンズ Shawn Edmonds
4th Trumpet、アンドレライス Endre Rice   
Rhythm
Piano、    トニーサッグス Tony Suggs(ピアノ)
Bass、    ジェームスリーリ James Leary(ベース)
Drums、    ブッチマイルス Butch Miles(ドラムス) 
Guitar、   ウィルマシューズ Will Matthews(ギター)
Female Vocal、メルバジョイス Melba Joyce(ヴァーカル)
     10月28日(金)カウントベイシー仙台公演in電力ホール、リハーサル風景。
 
Keep Swinging Basie Sound Forever.!!!
                  平成17年10月28日(金)鈴木誠一拝
 
ビバップスを聴いて下さいね。