仙台大学講義録C
<スポーツの意義と企業スポーツマーケティングのあるべき姿
(スポーツビジネスと生涯スポーツ)>

<スポーツの意義と効用。>
スポーツって何だろう。?なぜスポーツを続けているのだろうか。?
あなたにとってスポーツとは何ですか。?スポーツの目的、意義って何だろう。?
一緒に考えてみよう。

@スポーツの現状、
近年、都市化、生活の利便化の影響を受けて、運動不足に陥りやすい生活環境にあり、
現代社会では身体を動かす機会が減っている。近年、子供達の体力は低下傾向である。
現代の青少年は、体力、運動能力が低下し、それに伴って、心の乱れが目に余る。
特に、テレビゲームなどによる室内遊びが増加し、屋外の遊び場の減少が、スポーツ
をしにくい環境を作ってしまった。都市化は地域の人間関係の希薄化を招き、地域コ
ミュニティの崩壊を招いてしまった。人間は元来動物なので、身体を動かさないと健
康を損う。スポーツは、本来基本的に、遊びとしての価値を有している。スポーツは、
体を動かすという人間の本能的な欲求にこたえるものである。スポーツにより意識的
に身体を動かすことが、現代は、殊更、日常の生活に不可欠である。
 
Aスポーツと健康、 
スポーツを行うことは、体の健康維持、体力増進、運動能力向上に寄与する。身体を
動かすことによる爽快感、達成感、満足感、連帯感、ストレス発散等、心の健康、
精神的充足にも役立つ。子供は、風の子、元気な子。外で汗をかくことが、人が元気
に生活していく上で重要である。スポーツは、青少年の心身の健全な発達を促す。
更に、精神的ストレス解消による心の安定、多様な価値観を認め合う機会を与える
等、青少年の健全育成にスポーツを生活の中に定着させること、健康的な生活を営
むために、誰でも、いつでも、どこでも、気軽に、スポーツに接し、楽しむことは、
重要である。

Bスポーツと社会性、効用、
生活の質が求められる時代に、スポーツが果たす役割はますます増していく。スポー
ツはルールに基づいて行うもので、青少年に社会性、ルールを尊重する精神、自己責任、
フェアプレイ精神の育成を授ける。他者との協同、仲間との交流は、他人への思いやり
を育くむ。スポーツは、コミュニケーション機会を増大させ、コミュニケーション能力
を育成する。スポーツを気軽に楽しめるような社会、誰もが、いつでも、どこでも、
スポーツに親しめる社会が理想である。生涯スポーツの意義を深く考えて、生涯にわた
るスポーツライフの実現を果たすべきである。生涯スポーツ社会においては、運動、
スポーツを主体的、継続的に実践することが肝要である。スポーツを通して、子供から
高齢者まで地域住民が世代を超えて交流を深めていくことは、地域社会の活性化を促す。
地域社会住民相互の新たな連帯を促進するとともに、地域に誇りと愛着を感じることに
より、人間関係の希薄化を解消し、地域社会の再生につながる。

Cスポーツと生き甲斐作り、
高齢者がスポーツにより生き甲斐を持ち、元気に老後を送る。高齢者がゲートボールを
通じて地域の人との交流する。スポーツは人と人との交流にとってかかせない絆を作る。
子供達の野球のリトルリーグ、サッカースクール、ラグビースクール等で人格形成に寄与
する。スポーツを通じて地域コミュニティの形成に役立つ。

Dスポーツとリハビリテーション、効用と効果。
幼児体育、高齢者スポーツ、障害者スポーツ、野外活動(スポーツと自然)、余暇スポーツ、
が主な課題である。障害者スポーツでは、一人一人の障害やそのレベル、体力や運動能力
に応じたスポーツ技術の発展が望ましい。医学的リハビリテーションを身近にし、気軽に
血圧、脈拍といった体調チェックを実践する。精神、心理的効果としては、悩み、イライ
ラ感、孤独感、不安感が軽減される。スポーツの継続とともに外出の頻度が多くなる。
人と関わりをもたない個人的行動から人と積極的な関わりをもつ集団行動に変容する。
態度としては依存的態度から自立した活動へ変化する。自信、意欲が向上する。スポーツは、
生活習慣病(癌、心臓病、脳卒中、糖尿病等)の予防に大いに役立つ。

(具体的効果)
新しい仲間が増えた。80%   
外出の機会が増えた。79%  
楽しく取り組めるスポーツが見つかった。 77% 
体調が良くなった。70% 
良く眠れるようになった。 69% 
自信を持つことができるようになった。69% 
長く歩けるようになった。(時間、距離) 65% 
定期的にスポーツを継続するようになった。 65% 
つまずいたり、転んだりすることが少なくなった。62% 
悩みや不安を感じることが少なくなった。61% 
疲れにくくなった。 55% 
痛みや痺れが軽くなった。39% 

E競技スポーツ、「観るスポーツ」、スポーツ観戦、
一流の競技スポーツ、プロスポーツは、子供達に夢や希望や勇気を与える。全国規模の
レベルの高い大会を種目別に日本各地に招致すべきである。自らがスポーツを「する」
楽しみと、一流のすばらしいスポーツを「観る」ことを楽しむ。トップアスリートは、
スポーツ種目毎の技術向上を目的として、競技種目として、高いレベルで、技術を
徹底して磨く。

F生涯スポーツ、「するスポーツ」、スポーツ大会、
(学校と企業を中心のスポーツから総合型地域スポーツクラブへの流れ)
現代は、少子化に伴う部員数の減少により、学校運動部の活動が停滞している。経済
情勢(不況)や社会構造の変化に伴い、企業スポーツの休廃部が増えている。誰もが、
生涯にわたってスポーツを楽しむことができる社会を作ることが重要である。3歳から
19歳までの青少年を対象としたスポーツ振興プログラムが急務である。エンパワー
メント(障害者スポーツ)ノーマライゼーション、指導者の養成と確保、コーチ選び、
コーチング、「スポーツ、健康手帳」等が主な課題である。スポーツ先進国のオースト
ラリア、ニュージーランドでは、多くの人が、生涯を通じて、スポーツを楽しんでいる。

「Sports for All」
オーストラリアの「オージースポーツ(Aussie Sports)」
ニュージーランドの「キウイスポーツ(kiwi Sports)」
生涯スポーツは、小さい時から生涯にわたって関わる自分自身のライフスタイルの
中で、どのようにスポーツと関わり、継続していくかが問題である。生涯スポーツ
社会とは、誰もが、いつまでも、どこでも、気軽に、自分の好むスタイルで、スポ
ーツと接し、楽しむことができるような環境作りが急務である。その季節にしか楽
しめないシーズンスポーツに親しむことで、生涯スポーツの奥行きを深める。
生涯スポーツ社会の実現に向け、一人一人の興味、関心、目的に応じて、週1回以上、
誰もが、いつまでも、どこでも、気軽に、継続的な運動やスポーツを実践できる社会、
「総合型地域スポーツクラブ」が理想であり、時代の要請である。

G企業スポーツマーケティング、スポーツビジネス、スポーツマネジメント、
アメリカのスポーツ産業は、スポーツの商業化によって、既に20兆円の巨大市場を
形成している。アメリカの4大スポーツ(1、MLBベースボール、2、NFLフットボール、
3、NBAバスケットボール、4、NHLアイスホッケー)は、常に活況を呈している。サマ
ランチIOC会長は、ロサンゼルスオリンピックにおいて、オリンピックの商業主義化に
成功した。アマチュアスポーツの祭典であったオリンピックは、これを機に、実質的に
プロとして競技に取り組むアスリートの熾烈な闘いの場となった。

アメリカスポーツビジネスは、1、「放映権」2、「命名権(ネーミングライツ)」
3、「エンドースメント(有名選手による商品の保証宣伝)」の権利ビジネスを創造した。
ステークホルダー(利害関係者)としての「ファン基盤」の開拓が、最も重要な経営課題
となった。

日本のスポーツリゾート産業は、バブル経済の波に乗って、1980年代後半大きな成長
を見せた。1990年代に入り、バブル崩壊に伴って低成長に推移し、現在世界同時不況
下で、多くの企業スポーツが財政的に厳しい状況に直面している。大手による寡占化や、
クラブのM&Aという業界の再編成の波に襲われている。

トップスポーツビジネスの最前線は、具体的には、スポーツ大会放映権ビジネス、スポー
ツTV番組の制作、スポーツ選手のセカンドキャリア施策事業、商業スポーツクラブ経営、
球団経営、スポーツライテング、パーソナルブランディング、スポーツフィットネス産業、
レジャーレクレーションサービス、等があげられる。スポーツを売る仕組みを考える必要
がある。

WBCワールドベースボールクラシック、FIFAワールドカップ、IRBワールドカップラグビー、
JOCオリンピック、2016年の東京招致活動、等によって、メガスポーツイベント経済学
の誕生をみる。日本においては、東京オリンピック、かつての国体が、経済的、社会的発展
に寄与した。メガスポーツイベントは、スポーツビジネスを巨大産業化し、都市経済を活性
化した。「勝利」は、集客力をつけ、利益を上げる。経営と人気を両立させるにはどうすれ
ばいいか。?

スポーツビジネスの戦略には、勝利と収益の密接な関係が不可欠である。勝利して利益が
出るからこそ、より大きな感動を生み出せる。スポーツの善循環である。スポーツ消費行
動をどうとらえるべきであろうか。?スポーツビジネスにとって、「勝利」「普及」「市
場、マーケット」は重要な3要素である。

「最強のコンテンツ」を伝えるメディアミックスの戦略とは、何であろうか。?プロスポ
ーツ業界、具体的には、野球、サッカー、バスケットボール、ゴルフ、テニス、相撲、ボ
クシング、レスリング、その他の格闘技、の更なる企業化、産業化が重要である。これか
らのプロ野球は「興行」の世界から「産業化」が必要である。プロ野球では、特にパリー
グで起きている地域密着型経営の導入による人気と実力の均衡が、良い営業的成果を出し
ている。地元ファン志向の球団経営は、日本ハム(札幌)、楽天(仙台)、ソフトバンク
(福岡)に顕著にあらわれている。Jリーグをお手本にし、ファン獲得に向けた積極的な球
団経営で、観戦者人口が増加し、視聴率が回復した。地域に親しみのある人気チームが生ま
れる一方、ジャイアンツのような全国区チームが出現しにくくなるディレンマがある。

マーケテイング志向、消費者志向、クライアント志向、お客様志向というスポーツを買っ
ていただくという目線でのセグメンテーション(市場細部化)、ターゲティング(標的市場)、
ポシショニング(市場地位)、4P理論(Product製品、Price価格、Promotion販売促進、
Place立地)の実践、CRM(顧客情報のデータベース化、共有化)の実践、が必要である。
スポーツスポンサーシップ、スポンサー候補企業への提案内容、看板・ユニフォームでの露
出量、期待効果、スポーツ文化の形成、等が今後の研究領域となる。スポーツビジネスは、
音楽、映画、演劇、芸能、ファンションと同様に、アミューズメント産業の一翼をになって
いると考えるべきである。キーワードは、「21世紀の宗教はスポーツ」である。スポーツは、
音楽と同様、エンターテインメントであり、世界の共通語である。

早稲田大学のスポーツ科学部スポーツ文化学科スポーツビジネスコースが今勢いがある。
『健康スポーツ学』『スポーツ組織学』『スポーツコーチ学』
早稲田大学スポーツ科学、原田宗彦教授、(中心的人物である。)
その他の研究者、
山下秋二、藤本淳也、松岡宏高、中西純司、冨田幸博、金山千広、広瀬一郎、上西康文、
武藤泰明、飯塚健司、平田竹男、種子田穣、佐野毅彦、士反康裕、貴多野乃武次、富山浩三、
 川西正志、山口泰雄、青樹和夫、仲野隆士、阿久津聡、 清宮浩一、加藤善彦、 中村好男、
平田竹男、 小笠原悦子、
デビッドMカーター、ダレンロベル、ジョンクロンプトン、チャールズラム、 

Hスポーツから学ぶ精神、20項目、
1、スポーツは、強い身体と心に鍛えてくれる。健康維持、体力増進、運動能力向上に
  寄与する。
2、スポーツを通じて、練習をすればするほど技術が上達する。
3、スポーツを通じて、身体の使い方を覚えていく過程で自信、可能性を発見する。
4、スポーツは、スポーツそのものゲーム性の楽しさ、さわやかさを体感できる。
5、スポーツを通じて、仲間同志でゲームが楽しめる。仲間づくりができる。仲間への
  思いやりを学ぶ。
6、スポーツを通じて、フェアプレーの精神が養われる。
7、スポーツを通じて、ルール(約束事)の遵守を学ぶ。ルールを守ることの大切さ、
  規範意識が身につく。
8、スポーツを通じて、敬語表現を含む美しい言葉使い、躾(しつけ)が身につく。
9、スポーツを通じて「美しい立ち振る舞い」が身につく。
10、スポーツを通じて、礼に始まり礼に終わる事を学ぶ。上下関係を養う。
11、スポーツを通じて、素晴らしい人々との出会い、遠征、小旅行等で視野、
   世界を広げられる。
12、スポーツを通じて、自分の生まれ住む土地や国の素晴らしさを再認識する。
13、スポーツを通じて、良いコーチや監督やリーダーにつけば、飛躍的に力がつく
   ことを学ぶ。
14、スポーツを通じて、リーダーシップ、チームワークが身に付く。
15、スポーツを通じて、勝てない相手がどんどん出てきて、「上には上がいる」と
   いう謙虚さを学ぶ。
16、スポーツを通じて、人生の楽しさ、厳しさそして努力をすることの素晴
   らしさを学ぶ。
17、スポーツを通じて、目標を持つこと、努力すること、我慢すること、
   耐えることを学ぶ。
18、スポーツを通じて、試合に勝つための練習の工夫を積み上げ、
  「努力は報われる」事を学ぶ。目標設定の大切さを学ぶ。
19、スポーツは、人々の心や身体を解き放ち、生命力や活力を与えてくれる。
20、スポーツは、人々の人生の楽しく充実した自己実現の機会をもたらす。

I鈴木誠一流「健康10訓」(50歳以上の健康法)
1、少肉多菜、2、少塩多酢、3、少糖多果、 4、少酒多水、5、少食多噛、 
6、少静多動、7、少車多歩、8、少射多汗、9、少衣多浴、10、少憤多笑、
(番外編・おまけ)
11、少煩多眠、12、少欲多施、

スポーツは、人間の生命維持活動、健康保持活動、@睡眠、A食事、B運動、スポーツ、
スポーツは、誰でも気軽にできる運動、スポーツを継続すべき。
@ウォーキング、Aジョギング、Bストレッチング、

Wellness for Smiles 健康は笑顔を作る。スポーツの力を生きる力にして下さい。
スポーツを通じて身につくことは、最も大切な『人間力』。
皆さん、これからも生涯スポーツの振興に努力して下さい。
拙い話しに協力してくれてありがとう。皆さん、すばらしい人生を歩んで下さい。

                                             平成21年5月8日(金)鈴木誠一拝